秋田・消えた村の記録 2000年秋



比内町の小泉分校跡にて。



# 13-1
1999年秋に秋田で廃村巡りをして,佐藤晃之輔さん(「秋田・消えた村の記録」の著者さん)にお会いして,帰ってきてほどない頃から,2000年は全国あちこちの廃村を巡って,秋にはまた佐藤さんのところに妻と一緒にご挨拶に行こうと考えていました。
最初に足を運んでから10年以上の縁となる福井県旧西谷村や岐阜県旧徳山村をはじめ,書籍やインターネットで知って出向いた廃村,偶然見つけて後で調べものをした廃村・・・ 振り返れば,1年の間に多くの廃村に足を運ぶことができました。
一期一会を大切にしてきた実りを実感しています。今回の秋田はそのゴールです。

# 13-2
楽しみなのは,佐藤さんにお気に入りの廃村を案内していただけることと,妻と一緒ということです。妻には,一度私のマイペースな趣味にひととき付き合ってほしかったのです。ひととき廃村で,同じ空気を味わいたかったという感じでしょうか。
9月下旬にその旨を佐藤さんに電話をすると,快く承諾していただけました。
今年は暑かったので,稲刈りは例年より2週間も早くに終わったとのこと。ちょうど農家の仕事が一段落する10月上旬から中旬は,八幡平あたりでは紅葉の頃でもあり,温泉でのんびり暖まるのも含めて,秋田を訪れるにはよい季節です。

# 13-3
佐藤さんは「消えた村」の出版(1997年秋)の後から,「昔の農村の生活を振り返る」という感じのコンセプトで,秋田県内149の分校(分校跡)のことをまとめられていて,現在作業は終盤まで進んでいて,2001年秋には出版の見込みとのこと。
現在,秋田に残る分校はわずか5校。分校の廃校も,集落の廃村と同じように高度成長期の頃(昭和40年代)がピークです。この手の調べものをしていると30年ぐらいの間にずいぶん世の中は変わったものだということが実感できます。冬季分校(11月頃から翌年3月頃までの雪の深い時期だけ開校する分校)に宿泊した先生がいたなんて,夢のような話です。

# 13-4
今回の秋田はツーリングではなく,JR東日本の「GO GO 3Days きっぷ」という企画きっぷを使っての3連休の2泊3日です。1泊目は大潟村の佐藤さんのお家,2泊目は八幡平の廃村・老沢にある民宿「ゆきの小舎」。1999年とは逆の動きです。
行くことのできる廃村は,上小阿仁村の小阿仁川沿い(大錠・萩形(Haginari))あたりかなと,1/50000の地形図を買って臨みました。
佐藤さんへお見せする資料をまとめていると,リュックが一杯になりました。特に,ネット上で廃屋の猫さん(「残骸趣味」の管理者さん)からお話を聞いて入手した富山県内の74の廃村についての記録,桂書房「村の記憶」(山村調査グループ編)は,よい話題になりました。


【廃村をまとめた本について】
廃村を広域でまとめた本は少なく,私が知っている範囲では,県単位でまとめられた「秋田・消えた村の記録」と富山の「村の記憶」の2冊だけです。全国規模でまとめたものには出会ったことがありません。
「廃村と過疎の風景」をまとめるにあたっては,「全国規模でまとめられた本を読みたい」という,読者的な欲求も原動力になっています。
2001年2月に自費出版できたということで,全国の61の廃村・冬季無人集落と17の過疎集落の記録が形となりました。
いろいろな切り口の廃村をまとめた本やホームページができることを期待するところです。



その1 琴丘町茨島・大潟村・上小阿仁村中茂・大錠・八木沢

その2 鷹巣町小摩当・比内町金山・鹿角市切留平・老沢




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