東京徒歩旅行(2) 〜沖縄居酒屋編〜 その1 練馬区・上石神井「タニやん」


「タニやん」のお母さんと常連さん(阿部さん)と一緒に。なぜかバックはアサヒビールのノボリです。



2/25/2002 上石神井「タニやん」

[牛込神楽坂 → 高田馬場 → 中野 → 阿佐ヶ谷 → 四面道 → 善福寺公園 → 上石神井 (晴)]

# 1-1
「東京徒歩旅行(2)」の第一歩は2月25日の月曜日,天気がよく暖かい昼下がり,神楽坂から上石神井「タニやん」に向かいました。
「タニやん」の大将は「やしん坊」の大将と仲良しで,毎春一緒にお花見を企画しているということで馴染みやすく,ここから始めることになりました。前日に「エイサー」(太鼓を打ち鳴らす勇敢な踊り)の会が池袋であって,大将(玉城松欣さん)にご挨拶もしています。
当初は,神田川から善福寺川,善福寺公園と川沿いを遡るコースを考えたのですが,かなり遠回りになることから取り止めにして,代わりにJR中央線の南側に平行する桃園川緑道という川の跡の緑道をたどる計画となりました。

# 1-2
2月下旬にしては暖かな日だったので,コートはなしです。この頃の東京の日暮れは5時少し過ぎ。遅くても5時半頃には上石神井に到着したいということで,昼食は神楽坂駅(神楽坂口)前の「小諸そば」という立食いそばで軽く済ませました。
神楽坂から高田馬場までの4kmほどの道は,平成2年から5年まで,2年半ほど高田馬場に住んでいたこともあって,自転車や歩きで通勤したこともあるなつかしい道です。神楽坂駅からすぐの赤城坂という長い坂道を下った築地町,水道町界隈は,印刷工場がたくさんある下町。10年前と比べると,小さな印刷工場はずいぶん少なくなった感じがします。

# 1-3
首都高池袋線のガードをかすめると江戸川公園に到着。ここから高戸橋までは神田川沿いのサクラ並木があり,散歩には良い道です。
江戸川公園のノラネコは「ネコおじさん・ネコおばさん」が餌を与えているからか,毛並みも立派です。大滝橋の近くの早咲きのウメは散っていましたが,松尾芭蕉ゆかりの関口芭蕉庵の前のウメは綺麗に咲いていました。
芭蕉庵の横に位置する椿山荘(結婚式場)には,上総久留里藩主黒田家の下屋敷,また新江戸川公園(庭園)には,熊本藩主細川家の下屋敷という華やかな歴史があります。都心にして静かで緑が多く,坂がたくさんあるこの界隈は,東京の中でもお気に入りの場所です。

# 1-4
早稲田大学がほど近い豊橋から川を見ると,数匹のカモとコイが居ました。「神田川にコイが居る」というのは,東京に出てきた頃の私には驚きでしたが,川の水質は良くなっているらしく,最近はアユまで棲んでいるらしいです。
妙正寺川の暗渠が合流する高戸橋で明治通り(環五)を横切り,着いた高田馬場2丁目の川沿いの道はまだ完成して2年目くらいの新しい道。しかしJR山手線の手前で道は途絶えたので,高田馬場駅前まで迂回して,「さかえ通り」という夜のお店が多い商店街に抜けました。
商店街の終わりの神田川沿いの富士短期大学は,この4月から東京富士大学に改組するそうで,川を跨いだ渡り廊下が印象的です。

# 1-5
富士短期大学から下落合駅近くまでは川沿いの道がなく,高田馬場3丁目の一方通行でクルマも通る裏道をもたつきながら歩きました。ほどなく都バスの車庫がある小滝橋の交差点に到着。小滝橋からJR中央線の高架までは親水公園(神田上水公園)となっていて,快適です。
途中ハトにエサをあげているおばさんと,石の影からハトを襲おうと潜んでいる茶トラのネコを発見。写真を撮ろうと立ち止まると,おばさんから「どうぞお通りください」との声がかかりました。「いやー,ネコがいるもので・・・」と笑って応えて,流れでネコについて伺うと,ショコラという名前の1歳くらいのオスだそうです。その雰囲気や毛並み,体格は,すべて飼いネコ顔負けのノラです。

# 1-6
ホームレスさんがたむろしているJRの高架下を抜けると,新宿の高層ビル群がぐんぐん迫ってきて末広橋に到着。
およそ6km,1時間40分連れ添ってきた神田川とはここでお別れして,桃園川緑道へ。桃園川は杉並区天沼3丁目の旧弁天池から中野区末広橋へ流れていた小さな川で,昭和40年代に暗渠となり,その跡が緑道として整備されたとのこと。今は末広橋にある合流点でしかその姿は見れません。しかし,阿佐ヶ谷駅近くの桃園けやき公園まで続く直線的な4km強のこの緑道は,今回のコースにはうってつけです。
末広橋の袂の緑道の入口近くには「神田川」の歌詞の碑がありました。四畳半フォークの世界も,もう歴史のひとこまですね。

# 1-7
緑道の幅は4m〜6mぐらい。末広橋からしばらくは高層マンションが多くて狭かった空は,山手通り(環六),中野駅南,環七通り,高円寺駅南と進んでいくごとに広くなっていきました。
古いアパートには緑道向きの入口がないので,舞台裏を覗いているようです。ネコも悠々と道を横切っていきます。今回はやたらたくさんのネコを見ましたが,春並みに暖かな陽射しのせいでしょうか。何より久々に私がのんびりした時間を楽しんでいるということかな・・・
写真を撮りながら緩急使い分けで歩いていると,イヌの散歩のおばさんと三度も抜きつ抜かれつを繰り返してしまいました。

# 1-8
およそ1時間でJR中央線のガードをくぐって桃園けやき公園へ到着。川の跡は旧弁天池まで続いているらしいのですが,中央線の高架下の駐車場用の道は6mほどの幅があり,歩行者や自転車を見かけたことからこちらを歩くことにしました。クルマはまったく通らず快適です。しばらくして現れた高架下の商店街「ゴールド街」は,靴屋さんが目立ち神戸・元町の「モトコー」のような雰囲気です。
ゴールド街を抜けると,JR阿佐ヶ谷駅と杉並木で名高い中杉通り。駅を超えて線路の北側の「スターロード」は,夜のお店が多い雑然とした商店街。クルマはほとんど通らず,個性的なお店がたくさんあり,楽しそうな雰囲気がありました。

# 1-9
スターロードが終わって再び高架下の駐車場用の道を歩いて,天沼1丁目からは上荻3丁目までは住宅街を歩きました。荻窪駅の近くでは,「ことぶき通り」,「教会通り」という商店街があり,日大二高の生徒や買い物のお母さんなどで賑わっています。
教会通りの終わりの若杉小学校では,旗を持ったおばさんが「こんにちわー」,「さようならー」と児童に声をかけています。平凡ながら,昔なつかしい風景です。
四面道交差点で環八通りと青梅街道を同時に渡り,着いた上荻2丁目の住宅街は道幅が広く,天沼よりも新しい町ということがわかります。

# 1-10
上荻3丁目の善福寺川沿いの道にも,迷いなく合流することができました。善福寺公園に向かう2km弱の小道は,途中から平成11年4月に「東京徒歩旅行(1)」でも歩いたなじみの道になります。3年弱のうちにいろいろなことがありました。
夕暮れの善福寺公園では,武蔵野の自然の匂いを感じることができました。特に公園北側のウメは綺麗でした。
曹洞宗善福寺の前の十字路で,徒歩旅行(1)の道と別れると,ほどなく青梅街道の上石神井駅入口交差点。この辺りで陽は暮れたのですが,無事に明るいうちに上石神井までたどり着くことができホッと一息。降りかえれば今回は,アップダウンの少ない行程でした。

# 1-11
沖縄家庭料理「タニやん」は,駅にほど近い「庚申通り」から入った小路にあります。うるまガイドによると,「タニやん」は平成10年(1998年)創業,座席10席とありますが,カウンター10席に加えて奥に10人は入れる座敷があります。
到着は5時18分。時間は早くお店にはお母さんと私だけ。とりあえず中生にお通しはネギキムチ。これが適度に辛くてお酒が進むのが早い。
しばらくして大将登場。「東京中の沖縄居酒屋巡りをします」と話すと,「それはそれは・・・」と「関東うるまガイド」をプレゼントしてくれました。この冊子は北海道の旅の「とほ」のように,あちこちで出会うかもしれません。

# 1-12
食べ物は「パパイヤ炒め」と定番の「ゴーヤチャンプル」。パパイヤって甘いのかと思えばあれは熟れたらだということで,青いパパイヤは酸味があって,お酒のつまみには良い加減です。
飲み物は「シークァーサーハイ」,30度の泡盛「久米仙」,「ウコンハイ」。シークァーサーはキンカンに似た柑橘系の果物で。南国らしいさっぱりした味わい。泡盛は,ほどほどの線で30度に決定。なぜか冬なのにロック。ウコンはあの苦味の健康的な感じが良いです。
お母さんは沖縄本島南部の南風原出身,「タニやん」の屋号は,以前の店のマスターが谷啓さんに似ていたからとのこと。

# 1-13
だらだらと飲んで,ぼちぼち帰ろうかという頃,「やしん坊」のバイトのきよちゃん登場。今日はエイサーの会の練習の後とのこと。
年末にやしん坊できよちゃんから声をかけられていた,「今度タニやんで飲もう!」が実現できました。思えば,この声も沖縄居酒屋巡りのヒントになっていました。きよちゃんからは,「タコライス」をお裾分けしてもらいました。どうもありがとう。
結局4時間半ねばってお勘定は3,500円。駅までは歩いて2分ほど。西武新宿線上石神井は急行が停まるので高田馬場まで2駅で行けるのですが,このパターンには油断が付き物。山手線では田端乗り換えのはずが上野まで運ばれてしまいました。


●歩行距離  18.7km
●時 間     5時間4分  (昼食休憩を除く)

最高気温 (平年) 最低気温 (平年) 湿度
11.6℃ (10.5℃) 4.7℃ (2.9℃) 38%


時間 距離 ポイント 区名 備考
12:06 0.0 牛込神楽坂駅 新宿区 都営大江戸線・大久保通り
12:11/12:19 0.4 神楽坂駅神楽坂口 新宿区 営団東西線・早稲田通り
12:38 1.6 江戸川橋駅 文京区 営団有楽町線・音羽通り・目白通り・神田川
12:42 2.0 江戸川公園・大滝橋 文京区 神田川
12:54 2.7 早稲田・豊橋 新宿区 神田川
13:05 3.5 高戸橋 新宿区 明治通り・目白通り・神田川
13:19 4.3 高田馬場駅 新宿区 JR山手線・営団東西線・西武新宿線・早稲田通り
13:42 5.8 小滝橋 新宿区 早稲田通り・神田川
14:07 7.0 東中野・末広橋 中野区 大久保通り・神田川
14:12 7.4 宮下 中野区 山手通り・大久保通り
14:32 9.0 中野駅南 中野区  
14:47 10.1 高円寺南1丁目 杉並区 環七通り
14:54 10.6 高円寺駅南 杉並区  
15:05 11.3 桃園けやき公園 杉並区  
15:19 11.8 阿佐ヶ谷駅 杉並区 JR中央線
15:36 13.1 天沼3丁目 杉並区  
15:55 14.2 四面道 杉並区 環八通り・青梅街道
16:10 15.0 上荻4丁目・真中橋 杉並区 善福寺川
16:40 16.7 善福寺公園南口 杉並区 善福寺川
17:07 18.1 上石神井駅入口 練馬区 青梅街道
17:18 18.7 上石神井「タニやん」 練馬区  
  (18.8) 上石神井駅 練馬区 西武新宿線




【Column 01】 島酒(シマー)・泡盛

  • 沖縄のお酒というと,何はなくても泡盛。米が原料の蒸留酒で,乙類焼酎と同じ系統です。ちょっと癖のある香りは,酵母に黒麹菌を使うため生じます。酵母の違いが熊本に多くある米焼酎との違いです。
  • ポピュラーな飲み方は水割りで,アルコール度は30度(本格的)と25度(マイルド)が一般的です。値段は銀座の「わしたショップ」で「久米島の久米仙」25度ブラウン四合瓶(720ml)が1,050円,駒込の「どぅだっち」で「残波」30度(ザンクロ)四合瓶が900円でした。

  • 空港や土産物屋さんで置いてある泡盛は,古酒(クースー,3年以上瓶で寝かせた高級品)がほとんどで,アルコール度も43度ぐらいのものが多く,当然値段も割高です。中には花酒というアルコール度が60度という泡盛もありますが,まず普通は飲みません。
  • 「タニやん」では,泡盛の一升瓶(1800ml)がキープでき,「瑞泉」30度が5,000円でした。銘柄だけではなく,アルコール度まで注文に入ることがあるのは面白いところですね。



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