東京徒歩旅行(2) 〜沖縄居酒屋編〜 その8 板橋区・西台(高島平)「花風」


「花風」のママと一緒に。お店の真ん中には,カチャーシー(踊り)ができるスペースがあります。



9/30/2002 西台(高島平)「花風」

[牛込神楽坂 → 目白台 → 池袋 → 大山 → 中板橋 → 蓮根 → 西台 (にわか雨)]

# 8-1
平成14年の夏は,徒歩旅行関連の沖縄居酒屋を中心としてあちこちのお店を飲み歩きました。ひとりで気楽に行けるお店があちこちにできたのは良いことなのですが,自他ともに「飲み過ぎだなあ・・・」と見えるペースになってしまいました。
そんなこともあって,9月は「ひとりで飲む回数は減らそう」となり,八回目の徒歩旅行のターゲット,板橋区高島平(最寄駅は都営三田線西台駅)の「花風」(はなふう)には,Dularさんという廃村関連のネット仲間をお誘いして行くことになりました。
下見は西台駅で待合せ,本番はお店で待合せです。毎日民謡のライブで賑わうという「花風」は,複数で行くのに向いています。

# 8-2
待合せは楽しくて良いのですが,仕事のスケジュールと天気の都合と,三つぴったり合わせるのは簡単なことではありません。案の定,実行日の9月30日(月曜日)の天気予報の雨の確率は50%。秋雨全線がかかった上に台風が接近中という散々なものになりました。
しかし,9月も終わりということもあり,雨天決行となりました。徒歩旅行で傘をさしてオフィスを出たのは初めてのことです。
昼食は,家庭料理が嬉しい神楽坂6丁目の居酒屋「緑」のお昼の定食(さんまの焼魚)。お店を出たときは本降りとなっていて,ずぶ濡れ覚悟という悲惨な状況になりました。「めったにないことだし・・・」という気持ちと,目指すゴールが支えです。


# 8-3
早稲田大学の方向へと歩き始めたものの,古着屋,文具屋と,目に付くお店があったらいちいち立ち寄ってしまいます。そんな中,早大通りの衣料品屋さんで見つけた「靴下3足1000円」は悪天にはちょうど良く,購入すると消費税込みでした。
文京区に入って駒塚橋で神田川を渡った真正面の胸突坂は,真ん中が階段状の狭くて急で長い坂。器用にも宅配ピザ屋のスクーターが登っていきました。坂を登ると左に細川家ゆかりの永青文庫,右に講談社ゆかりの蕉雨庵。「雨中の探索も風流かな」と思わせる街並みです。
目白通りに出てしばらく歩くと有名な田中角栄(真紀子)邸があります。今更なのですが,ここは写真を撮りたくなるポイントです。

# 8-4
目白台2丁目の交差点を過ぎ,豊島区に入ったばかりのマンションのエントランスで一度目の靴下の履替え。雨は小降りになってきました。
気分転換して,都電の鬼子母神前(きしぼじんまえ)電停から,サンシャイン60を目印にしながら東京音大の前を通って日蓮宗 法明寺へ。妙に雨が似合う街並みが続きます。途中「渡辺くみ子」という区会議員の立て看板があり,ドキリとしてしまいました。
やがてあずま通りという商店街に着いて,池袋の賑わいが始まりました。明治通りから池袋駅をみると,整然と中層ビルが並んでいてちょっとヨーロッパっぽいです。雨は気にならないくらいのものとなり,ここからしばらくの間傘をたたむことができました。

# 8-5
JR線は,池袋駅を東口から西口へ抜けることで渡りました。すごい人ごみの中,急ぎ足で歩くと200m,3分でした。
駅を背に西一番街を抜けると,意外にあっさりと賑わいはなくなりました。池袋4丁目あたりは普通の住宅街と変わりません。さらに川越街道を渡った池袋本町中央通り商店街はすっかり寂れていて,ノボリに描かれたふくろうもどこか寂しそうです。
西前橋という橋の跡が豊島区と板橋区の区界。ここを流れていた谷端川(やばたがわ)は,昭和37年に暗渠となったそうで,今は要町からJR板橋駅にかけての緑道として形を留めています。残念ながら,この緑道は横切るだけとなりました。

# 8-6
ひっきりなしに10両編成の電車が走る東武東上線を踏切で渡って,山手通りをガードで通り抜けてしばらく歩くと大山駅。遊座,ハッピーガードと商店街はとても賑わっています。
「うるまガイド」に紹介されている東京23区内の沖縄料理屋・居酒屋は176店。うち板橋区には15店あり,大山だけで4店あります(区としてのベスト3は新宿区(29店),港区(19店),板橋区。街としてのベスト3は新宿(17店),銀座(14店),新橋(8店))。
板橋区には古くから沖縄出身の方が多いらしく,ガイドの発行人兼編集人の大城朝夫さんも板橋で生まれ育った建設会社の2代目とのこと。


# 8-7
二度目の靴下の履替えは,中板橋駅にほど近い中町の不動産屋の軒先。まだまだ靴下は湿っており,履きかえると気分が一新されます。
「花風」到着予定は午後6時。だいぶ余裕が出てきたので,中板橋の商店街ではコーヒー屋に入ってひととき一服しました。「徒歩旅行(1)」から数えても初めてのことなのですが,荒天の道中では,ゆっくり座れることが貴重です。
「ダックス」は昔ながらの雰囲気がなつかしいコーヒー屋。この日のサービス品ということでコロンビアを頼みました。「大阪にいた頃はなじみの喫茶店とかあったなあ・・・」とか思いながら,30分ほど休憩しました。お勘定の380円は安く感じられました。

# 8-8
双葉町交差点で環七通りを渡った富士見町は,7〜8年前に仕事で通った関係で土地勘があります。町の感じはあの頃のままで,妙に嬉しくなりました。
前野町1丁目まで行くと駅は遠くなって,行き先がはっきりとしなくなりました。ここで初めてポケット地図を忘れたことに気が付きました(もうひとつ別に,縮尺が1万分の1の都市図をベースに,A4の紙に予定ルートをトレースした手書きの地図を持ち歩いています)。
ここまではほぼトレースの予定通りだったのですが,前野町1丁目から都営三田線の高架あたりまではだいぶ東寄りの道となりました。

# 8-9
前野町では,ヘルスメーターの「タニタ」などの大きな工場と,小さな町工場が入り組んだ住宅街を歩きました。前野公園から淑徳短期大学を過ぎたところで急な下り坂があり,起伏が大きくなりました。
前野町5丁目の丘の上のマンションのエントランスで三度目の靴下の履替え。荒天時に予備の靴下を持ち歩くのは大正解でした。
区民農園を見下ろす坂道の途中からは,高島平に続く高層住宅群が見られました。良い住宅地は多いけれどどこか庶民的な感じがする板橋区らしい風景です。

# 8-10
首都高池袋線の高架を抜けて,相生町で環八通りを渡ったあたりから再び傘を開くことになりました。降水確率50%はとても良い精度です。時間は午後5時半にしてすでに暗く,秋分の日が過ぎてどんどん日が短くなっていることが実感できます。
蓮根駅西口駅前はなぜか袋小路。南側から回り込んで通った商店街(ハミングロード)は,まずまずの賑わいです。
西台駅前交差点を経由して,「花風」に到着したのは午後5時53分。お店の先客は3組ほど。まずは中生と「ソーキ」を注文。ほどなくDularさん到着。乾杯をした後,「パパイヤチャンプル」とモズクを頼みました。ふたりいるとビールがよくはかどります。

# 8-11
うるまガイドによると,「花風」は平成9年(1997年)創業,座席は35席(カウンターは4席ほど)。とても馴染みやすいお母さん(具志堅ちえさん)は宮古島出身で,屋号の「花風」は琉球の古典曲に由来するとのこと。下見に来たときに,お母さんからスタッフに大城朝夫さんの親戚の方がいて,大城さん自身も時折飲みに来られるとのこと。縁があれば一度お会いしたいものです。
Dularさんは,本格的な沖縄居酒屋はこのお店が初めてとのこと。当初,東京の街歩きの話をしていたのですが,ひょんなことから下関,門司,小倉あたりの名所,良いお店という話に流れていきました。沖縄の話にならないのが面白いところです。

....

# 8-12
民謡ライブの始まりは午後8時半。三線と太鼓の演奏で最初は定番の「安里屋ユンタ」。ノリのよい「豊年音頭」では「カチャーシー」を踊ったりで,とても良いノリです。男性は手をグーに握って,女性は指をそろえて伸ばして踊るらしいです。
〆めに沖縄やきそばを食べて,「十九の春」を歌わせてもらって「花風」を出たのは9時20分。お勘定は6,900円。雨は上がっていました。
西台駅前交差点からは赤羽駅西口行きの国際興業のバスが出ているので,帰路は都営三田線ではなくこれを使うと,25分,210円でした。待合せ,雨天決行,喫茶店での休憩といった初物づくしの徒歩旅行は,10時台に帰宅するという健全な結末となりました。


●歩行距離  15.0km
●時 間     4時間43分 (昼食・喫茶休憩を除く)

最高気温 (平年) 最低気温 (平年) 湿度
23.6℃ (24.1℃) 21.4℃ (18.0℃) 83%


時間 距離  ポイント 区名 備考
12:10 0.0  牛込神楽坂駅 新宿区 都営大江戸線・大久保通り
12:15/12:45 0.4  神楽坂6丁目「緑」 新宿区 営団東西線・早稲田通り
13:15 1.6  早稲田鶴巻町 新宿区 外苑東通り
13:35 2.5  早稲田リーガロイヤルホテル 新宿区 新目白通り・神田川
13:55 3.7  目白台2丁目 豊島区 目白通り・不忍通り
14:10 4.2  鬼子母神前電停 豊島区 都営荒川線
14:21 5.2  南池袋1丁目 豊島区 明治通り
14:27 5.6  池袋駅 豊島区 JR山手線・埼京線・営団丸ノ内線・有楽町線・東武東上線・西武池袋線・明治通り
14:44 6.7  池袋4丁目 豊島区 川越街道(R.254)
15:05 7.7  板橋2丁目 板橋区 山手通り
15:13 8.4  大山駅 板橋区 東武東上線
15:40/16:10 9.7  中板橋「ダックス」 板橋区 東武東上線・石神井川
16:17 10.0  双葉町 板橋区 環七通り
16:56 11.7  前野町5丁目・前野公園 板橋区  
17:24 13.0  相生町 板橋区 環八通り
17:37 13.9  蓮根駅 板橋区 都営三田線
17:49 14.6  西台駅前 板橋区 都営三田線・高島通り
17:53 15.0  西台(高島平)「花風」 板橋区 高島通り
  (15.4)  西台駅前 板橋区 都営三田線・高島通り



【Column 08】 宮古の方はお酒が強い?

  • 「花風」のママ(具志堅さん)は宮古島出身です。居酒屋巡りの10軒中,宮古の方のお店が2軒,八重山の方のお店が2軒というのはすごい確率です(宮古の面積は208ku,人口は約53,000人で,本島地方の面積は1,466ku,人口は約1,180,000人)。
  • 宮古というと有名なのが「オトーリ」。オトーリとは一言ずつ口上を述べながら参加人数の数だけ泡盛を回し飲みするという風習です。この風習もあって,宮古の方は沖縄でも特にお酒が強いと言われます。

  • 「沖縄人解体真書 ザ・ウチナーンチュ」によると,宮古の方には強い個性があり,「アララガマ精神」と呼ばれる強靭な負けじ魂,商売が上手く実業家が多いこと,結束力の強さなどが挙げられるそうです。
  • 宮古の泡盛というとやはり「菊乃露」。沖縄居酒屋巡りで良く見かけた泡盛の双璧は「久米島の久米仙」と「菊乃露」でした。「花風」と王子「あんでぃら」(大将が宮古島出身)の共通項は,高島平と王子の地域柄もあってか,ちょっと泥臭くアットホームなところです。



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